ソフトテニスのサーブは、試合において唯一「自分だけがコントロールできる」ショットです。どんな強いラリーも、どんな完璧なボレーも、試合はサーブから始まります。サーブが弱ければ、それだけで相手に主導権を渡してしまいます。逆にサーブが強ければ、相手は試合を通じてプレッシャーを受け続けます。

この記事では、オーバーハンドサーブを基本に、カットサーブ・忍者サーブ・アンダーサーブ・セカンドサーブの5種類を徹底解説します。それぞれの打ち方・コツ・練習方法まで、すぐに実践できる情報をお伝えします。

🏆 サーブが試合に与える影響——なぜこんなにも重要か

ソフトテニスの試合を振り返ってみてください。「サーブ(またはレシーブ)から始まるポイント」が、試合全体の何割を占めていますか?答えは100%です。サーブはすべてのポイントの出発点です。

にもかかわらず、多くの選手がサーブの練習を「とりあえずコートに入ればいい」程度にしか考えていません。これは大きな機会損失です。強いサーブは、試合の前に相手のメンタルを揺さぶる唯一のショットでもあります。

💡 サーブが試合に与える3つの影響

①ファーストサーブが入れば、相手はレシーブの準備に追われ、前衛へのポーチが難しくなる。②多様なサーブを持つ選手は、同じ展開が続かないため相手が対策しにくい。③確実に入るセカンドサーブがあれば、ファーストサーブを攻めていける心理的余裕が生まれる。

野口英一監督の教材「ソフトテニス上達革命」では、サーブ5種類の習得法攻撃的レシーブ27パターンが収録されています。サーブの多様性が試合でどれほど有利になるかは、試合を通じて証明されてきた事実です。

📐 ソフトテニスサーブの基本動作と共通するコツ

どのサーブにも共通する「基本の動作」と「意識すべきポイント」があります。まずここを押さえることが、すべてのサーブ習得の土台になります。

サーブに共通する基本動作

  • 構え(スタンス):足を肩幅程度に開き、利き腕側の足をやや後ろに引く。体の向きはネットに対して約45度斜めに向く。体重は後ろ足に乗せた状態からスタート
  • ボールトス(トスアップ):打つ種類によってトスの位置が異なるが、いずれも「毎回同じ場所に上げる安定性」が最重要。不安定なトスはすべての失敗の元凶
  • バックスイング:ラケットを後ろに引くタイミングと深さが、インパクトの力と方向を決める。焦らず十分に引くこと
  • 体重移動:後ろ足から前足への体重移動が、スイングのパワーの源。手だけで打とうとすると力が入らない
  • インパクト:打点(インパクトポイント)は高く、体の前で捉えるのが基本。打点が低すぎたり後ろすぎたりすると方向が安定しない
  • フォロースルー:打ち終わった後も、打ちたい方向にラケットを振り抜く。フォロースルーを止めると、ボールのコントロールが低下する
⚠️ 最初にチェックすべきこと

サーブが安定しないほとんどの原因は「トスの不安定さ」です。難しい技術を練習する前に、まず「毎回同じ高さ・同じ場所にトスを上げる」練習を徹底してください。トスが安定しただけで、サーブが劇的に改善する選手が多いです。

🎾 オーバーハンドサーブ(基本サーブ)の打ち方とコツ

🎾
オーバーハンドサーブ
初心者向け 安定性高
難易度

オーバーハンドサーブは、すべてのサーブの基本となる打ち方です。頭上でラケットを振り下ろして打つスタンダードなサーブで、力強さとコントロールのバランスが取りやすいのが特徴です。

このサーブを安定させることが、他のすべてのサーブの習得への近道です。焦って応用技に手を出す前に、まずこのオーバーハンドサーブを確実なものにしましょう。

1
スタンスを整える
ベースラインのやや後ろに立ち、ネットに対して45度の角度で構える。左手でボールを持ち、右手でラケットを構える(右利きの場合)。
2
トスを上げる
左手をまっすぐ伸ばし、手首を使わず腕全体でボールを持ち上げる。打点(やや前方・肩の高さより少し高い位置)に向かって、安定したトスを上げる。
3
バックスイング→テイクバック
トスと同時にラケットを後方に引き、肘を高く上げた「コッキングポジション」を作る。ラケット面が後ろを向いた状態を一瞬作ることで、スイングのパワーが蓄積される。
4
体重移動しながらスイング
後ろ足から前足へ体重を移動させながら、ラケットを前上方に振り出す。肩・肘・手首の順番にエネルギーが伝わる「鞭打ち運動」を意識する。
5
インパクト→フォロースルー
最高打点でボールを捉え、打ちたいコース(クロス方向)に向かってラケットを振り抜く。フォロースルーは体の斜め下方向に自然に流す。
💡 上達のコツ
「上から叩きつける」イメージよりも「前に向かって振り抜く」イメージの方がコントロールが安定します。速さよりも「毎回同じ動作をすること」を意識しましょう。

✂️ カットサーブの打ち方・習得の手順

✂️
カットサーブ
中級以上 変化系
難易度

カットサーブは、ボールに横回転をかけて低くバウンドさせるサーブです。ソフトテニスの軟らかいボールは回転の影響を受けやすく、カットサーブのバウンドは相手にとって非常に取りにくい軌道を描きます。

うまく決まれば相手はレシーブに精一杯となり、前衛のポーチチャンスが増えます。ソフトテニス特有の武器の一つで、習得すれば試合での選択肢が格段に広がります。

1
グリップを調整する
通常のサーブよりもコンチネンタルグリップ(包丁を持つような握り方)に近い握り方にする。これによりラケット面が立つ状態になり、横回転をかけやすくなる。
2
トスを体の右側に上げる(右利きの場合)
通常のサーブより少し右側(自分の利き腕側)にトスを上げる。この位置にトスが来ることで、ボールの外側(右側)を切るスイングが自然に生まれる。
3
ボールの外側を斜めに切る
ラケットをボールの右外側から左下に向かって斜めに振り抜く(右利きの場合)。「切る」動作がボールに横回転を与える。焦らずしっかり切ることを意識。
4
フォロースルーは斜め下に
切るようにスイングした後、ラケットは体の左斜め下に自然に流れる。無理にフォロースルーを大きくする必要はない。コンパクトでも切れていれば有効なカットサーブになる。
💡 習得のコツ
最初は「コートに入れること」よりも「回転がかかっていること」を優先して練習しましょう。回転の感覚をつかむために、最初は力を抜いてゆっくりした動作で練習するのが効果的です。
⚠️ 注意点
カットサーブは習得に時間がかかります。練習不足のままカットサーブを試合で使うと、ミスが増えます。まずはオーバーハンドサーブを安定させてから取り組みましょう。

🥷 忍者サーブとは?打ち方と使いどころ

🥷
忍者サーブ
上級者向け 奇襲系
難易度

忍者サーブは、打つ瞬間まで相手に打点やサーブの種類を読ませない「だまし」の要素が強いサーブです。名前の通り「隠れて打つ」ようなモーションから、相手が予測できない場所にボールを送り込みます。

カットサーブの変形とも言えるこのサーブは、体の向きや腕の振りで相手のレシーブ体勢を崩すことを目的としています。使い方次第で、相手を完全にフリーズさせることが可能な強力な武器です。

忍者サーブの基本的な仕組み

忍者サーブのポイントは「フェイク(だまし)」にあります。通常のサーブと同じ構えから、最後の瞬間にスイングの方向や角度を変えることで、相手の読みを外します。具体的には次のような変化が典型的です。

  • 体の向きのフェイク:構えは通常サーブと同じ向き→スイングの瞬間に体を回転させて打方向を変える
  • トスのフェイク:ボールを体の前にトスしつつ、ラケットの角度でコースをギリギリまで隠す
  • スピードのフェイク:大きなバックスイングから一転、ゆっくりした速度でコートのギリギリに落とす
💡 使いどころのコツ
忍者サーブは試合の序盤から多用すると相手に対策されます。試合中盤〜終盤、あるいは「ここぞ」という場面で使うことで最大の効果を発揮します。同じサーブの繰り返しで相手が慣れてきたタイミングで混ぜるのが理想的な使い方です。
⚠️ 習得の注意点
この技術は基本的なサーブが安定してから取り組むべき上級技術です。「だまし」の動作が身についていない段階で使うと、自分のフォームが崩れる原因になります。

⬇️ アンダーサーブの打ち方・活用法

⬇️
アンダーサーブ
初心者向け 安定性高
難易度

アンダーサーブは、ラケットを下から振り上げてボールを打つサーブです。オーバーハンドに比べてコントロールしやすく、ダブルフォルトのリスクが低い特徴があります。

「簡単すぎる」と侮られることもありますが、実はアンダーサーブも戦略的に使うことで、相手の虚を突く有効な武器になります。特に試合中に急にアンダーサーブを混ぜることで、リズムを狂わせる効果があります。

1
構えと持ち方
オーバーハンドより少し前傾みに構える。グリップはウエスタン〜コンチネンタルの間。ボールは腰から胸の間の高さで持つ。
2
ラケットを後方下に引く
ラケットヘッドを腰より低い位置まで後ろに引く。バックスイングはコンパクトでよい。
3
下から前上方に振り上げる
ラケットを下から前方向に振り上げながらボールを打つ。「すくい上げる」感覚より「前方に押し出す」感覚でスイング。
💡 戦略的な活用法
オーバーハンドが続いた後に突然アンダーサーブを混ぜると、相手はタイミングを外しやすい。また、セカンドサーブの代替として使うことで安定感を高める選手も多いです。「弱い」サーブではなく「意図的に使う変化球」として活用しましょう。

🛡️ セカンドサーブを安定させる最重要ポイント

🛡️
セカンドサーブ
安定性必須 全レベル
難易度(習得)

セカンドサーブは「2本目のサーブ」であり、これが入らなければダブルフォルトで相手に1ポイントを与えてしまいます。つまり、セカンドサーブの安定性は試合結果に直結する最重要技術の一つです。

多くの選手が「セカンドは当てるだけでいい」と消極的な考えでサーブしますが、それは間違いです。セカンドサーブも意図を持って打つことで、相手のレシーブを制限することができます。

セカンドサーブが不安定になる主な原因

  • 心理的プレッシャー:「絶対入れなければ」という気持ちが体を硬くし、動作が変わる。これを防ぐには「同じ動作で打てる」という確信を持てるまで練習を積むこと
  • スイングスピードの低下:コートに入れたい気持ちから無意識にスイングが小さく・遅くなる。スイングが変われば回転量も方向も変わる
  • トスの不安定さ:ファーストと違う場所にトスを上げてしまう。毎回同じトスを上げる習慣が鍵

安定したセカンドサーブを作る方法

1
「必ず入るサーブ」を1種類決める
カットサーブ・アンダーサーブ・スピンサーブなど、自分が最も安定して入れられるサーブを「セカンドサーブの型」として決める。迷いなく打てる型を持つことが精神的安定の基盤になる。
2
プレッシャー状況での反復練習
「ここを外したらゲームセット」という緊張感の中でも打てるよう、練習でも「セカンドサーブのプレッシャー環境」を意図的に作る。例:「連続10球入らなければ腕立て10回」などのプレッシャーをかけた練習。
3
「セカンドでも攻める」意識を持つ
守りのセカンドは相手に攻めやすい球を提供する。「確実に入れながらも、相手のレシーブを難しくする」ことを目指す。コースを変える、回転量を変えるなど、消極的にならない工夫をする。
💡 精神的安定のコツ
セカンドサーブ前に深呼吸する習慣をつけましょう。「今までの練習量を信じる」という思考が、硬直した体をほぐします。ルーティン(服を直す、足を踏み直すなど)を作ることで、試合中でも平常心を保てます。

📊 5種類のサーブ比較一覧

ここまで紹介した5種類のサーブを、特徴別に比較してみましょう。

サーブ種類 威力 安定性 変化 習得難度 おすすめシーン
オーバーハンド 基本的なポイント争い
カットサーブ 相手の前衛を崩す
忍者サーブ 最高 ここ一番の奇襲
アンダーサーブ 変化球・セカンド代替
セカンドサーブ(スピン) ダブルフォルト回避
📌 実践的なアドバイス

試合で最も力を発揮するのは「2種類以上のサーブを使い分けられる選手」です。最初はオーバーハンドとアンダーサーブの2種類を安定させ、次にカットサーブを加えることで、相手の対応が格段に難しくなります。最終的に3種類以上のサーブを持てれば、サーブゲームでの優位性が確立されます。

🏋️ サーブを上達させる効果的な練習ドリル

🎯 ドリル1:トス安定化練習

コートに入らなくてもいいので、毎回同じ場所にトスを上げる練習のみを行う。

  1. サーブのスタンスで構える
  2. バックスイングなしでトスだけ上げる
  3. 上げたボールが毎回同じ場所に来るか確認する
  4. 「打点の場所にトスが来た」と感じたら手でキャッチ
  5. これを30〜50球繰り返す

トスが安定するだけで、サーブの質が大きく変わります。地味な練習ですが、効果は絶大です。

🎯 ドリル2:的当て練習

サービスエリアにタオルや空のボール缶を置いて、的を狙う練習。

  1. サービスエリアのT字付近にタオルを置く
  2. そのタオルをターゲットに見立ててサーブを打つ
  3. 10球中何球が半径1メートル以内に入るか計測する
  4. セッション毎に数字を記録して改善を可視化する

「入れるだけ」の練習より、具体的な目標を持った練習がコントロール向上に効果的です。

🎯 ドリル3:プレッシャーサーブ練習

本番の緊張感を再現した状態でセカンドサーブを練習する。

  1. 「セカンドサーブを10球連続で入れたら終了」というルールを設定
  2. ミスしたら1球目に戻り、またカウントを始める
  3. 「連続10球成功」を達成するまで終わらない
  4. 慣れてきたら20球・30球に増やしていく

このプレッシャー環境での練習が、試合本番での精神的な安定に直結します。

🎯 ドリル4:カットサーブの回転確認練習

カットサーブの回転をまず体で覚えるための練習。

  1. ネットに近い位置(サービスラインより前)に立つ
  2. コートに入れることは意識せず、「回転をかけること」だけを意識してカットサーブを打つ
  3. ボールが地面でどう跳ねるか(横に跳ねれば回転がかかっている証拠)を確認する
  4. 回転の感覚を掴んだら徐々に距離を離していく

最初から「入れよう」としないことが、カットサーブ習得の秘訣です。

📜 サーブに関するルールの注意点

サーブを打つ前に、ルール上で気をつけるべき点を確認しておきましょう。反則を犯すと意図せずポイントを失うことになります。

  • フット・フォルト:サーブを打つ際、ベースラインを踏んだり、センターマークをまたいだりするとフット・フォルトになる。踏み込みすぎに注意
  • ボールを2度打ちすること(ダブルヒット):サーブでボールが手とラケットに同時に当たったり、2度打ちになったりすると反則
  • サービスオーダーの違反:サービスする側とレシーブする側が規定通りの順番で行わなければならない。間違えると反則
  • サーブ開始前にレシーバーが構える前に打つ:レシーバーが準備できていない状態で打ったサーブは、ノットレディ(打ち直し)になる場合がある
  • ネットに当たってサービスエリアに入る「ネット・イン(レット)」:ネットに触れてサービスエリアに入ったサーブは打ち直し(レット)となる。ただしポスト等に当たった場合は条件が異なる
⚠️ カットサーブに関する特別ルール

カットサーブは一時期、「フット・フォルト」や「トスの高さ」に関するルール解釈が問題になったことがあります。現在のルールでは基本的にカットサーブ自体は合法ですが、サーブのモーション中にボールを意図的に投げ直す行為は反則になる場合があります。最新のルールブックや大会規定を必ず確認してください。

⚔️ サーブを使った戦術——ゲームを制するサーブの組み立て

技術を覚えるだけでなく、「どうサーブを組み立てるか」という戦術的な視点を持つことで、サーブが試合の武器になります。

戦術1:初球から攻めるサーブ配球

試合の開始直後は、相手が自分のサーブに慣れていない状態です。この時間帯にファーストサーブで積極的にエースを狙うことで、相手に「このサーバーは怖い」という印象を植え付けることができます。

戦術2:バリエーションで相手を迷わせる

同じコース・同じ種類のサーブを連続で打つと、相手はすぐに適応してしまいます。意図的にコース・種類・スピードを変えることで、相手のレシーブを不安定にさせ続けることができます。具体的には「外→内→外」「速い→遅い→速い」というパターンの変化が効果的です。

戦術3:前衛との連携を意識したサーブ

ダブルスのサーブは、前衛との連携が不可欠です。自分がどこにサーブを打つかを前衛に伝えておくことで、前衛がポーチに出るタイミングを合わせられます。サーブ前にペアと打合わせをする習慣が、連携の精度を高めます。

「サーブは自分がコントロールできる唯一のショットです。それをただ入れるだけで終わらせては、大きな戦力を無駄にしていることになります」

✅ まとめ

ソフトテニスのサーブは、習得すればするほど試合での武器が増える、非常に「投資価値の高い技術」です。まずは基本のオーバーハンドサーブを安定させ、次にカットサーブの習得、そして忍者サーブ・セカンドサーブの安定化と、段階的に取り組むことをお勧めします。

「サーブが強いと試合が変わる」——これは試合経験を積んだすべてのプレーヤーが実感することです。ぜひ今日から、サーブの練習に力を入れてみてください。

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